ボードゲームの「アフター・アス(After Us)」をボードゲームアリーナ(BGA)でプレイしたので、感想をまとめてみる。
基本的なルール
デッキをビルドして点数を稼いでいくゲーム。
ゲームは3つのフェーズに分かれており、それぞれのフェーズを各プレイヤー同時に進めていく*1。初期の山札8枚は各プレイヤーとも同一のもので、カードを獲得したり削除したりすることでデッキの強化を行なっていく。
- フェーズ1. カードの並び替え
- フェーズ2. カードの獲得
- フェーズ3. 次のラウンドの準備
フェーズ1. カードの並び替え
山札から4枚のカードを引いて公開し、それらを並べ変える。リソースのアイコンが描かれている枠が完成した(図中では枠が緑色になっている)場合、枠内のリソースや勝利点の獲得や交換を行うことができる。
リソースや勝利点の獲得は左から右、上から下の順に解決していく。2段目、3段目にはリソースの支払いが必要なものがあるが、同じターンで先に獲得しているリソースはそのターン内ですぐ使うことができる。
リソースには以下の5種類がある。また、電球のアイコンは勝利点を表している*2。激怒のリソースのみ保有できる上限が12個と言う制限があるが、その他のリソースには上限はない。
- 花(水色のアイコン): マンドリルのカード獲得に必要
- 果物(オレンジ色のアイコン): オランウータンのカード獲得に必要
- 穀物(黒色のアイコン): ゴリラのカード獲得に必要
- エネルギー(バッテリー型のアイコン): 道具の使用に必要
- 激怒(ゴリラの顔のアイコン): デッキからのカード削除に必要
全プレイヤーのリソース獲得の処理が完了するとフェーズ2. カードの獲得に進む。
フェーズ2. カードの獲得
マンドリル、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーのいずれかを選択し、ボーナスとカードの獲得を行う。
カードにはレベル1とレベル2があり、獲得するためにレベル1のカードは3つ、レベル2のカードは6つのリソースを必要とする。 レベル2のカードの方が枠数が多く、得られるリソースの数も多い。
- マンドリル
- 消費するリソース: 花
- ボーナス: 2勝利点を獲得する。
- カード: 勝利点を獲得するのに役立つものが多い。
- オランウータン
- 消費するリソース: 果実
- ボーナス: 2エネルギーを獲得する。
- カード: エネルギーを獲得するのに役立つものが多い。
- ゴリラ
- 消費するリソース: 穀物
- ボーナス: 2激怒を獲得する。
- カード: 激怒を獲得するのに役立つものが多い。
- チンパンジー
- 消費するリソース: 花、果実、穀物のいずれか1種
- ボーナス: カードの効果をもう一度利用することができる。資源を必要とする場合は消費しなければならない。
- カード: ボーナスの内容と同じ効果を得られるカードが多い。
また、カードの獲得の際に、任意のリソース1種(花、果実、穀物、バッテリーのいずれか)を2つ消費することで、両隣のプレイヤーが獲得したボーナスと同じものを獲得することができる。
ボーナスの獲得はカードの獲得の前に行うことができるので、カード獲得のためのリソースが足りない場合にはボーナスで獲得したリソースを充てることができる。
獲得したカードは山札の一番上に置き、次のターンですぐ使うことができる。全プレイヤーがボーナスとカードを獲得し終わったら、フェーズ3. 次のラウンドの準備に進む。
フェーズ3. 次のラウンドの準備
BGAでは特にフェーズとして表示はされないが、フェーズ2. カードの獲得の後に「ターン終了」をするまでの間であれば、以下の行動ができる。
これらの行動はフェーズ1.からフェーズ3.までの任意のタイミングで行うことができるが、道具によっては使用できるフェーズに制限がある。
道具の使用
道具カードが3種類公開されており、バッテリーを消費することで効果を得ることができる。いずれの道具も使用できるのは1ターンに1回までである。
道具カードは複数種類存在するが、例えば以下のようなものがある*3。
- ラジカセ
- フェーズ1. でのみ使用可能
- 消費バッテリー: 2
- カードの並び替えの前に、公開されたカードのうち1枚を捨て山に置き、代わりに山札から1枚カードを公開する。
- パソコン
- フェーズ1. 2. 3. で使用可能
- 消費バッテリー: 5
- 即時に5勝利点を獲得する。
- スクーター
激怒
激怒のリソースを4つ使用することで、このターンに自分が公開していたカードのいずれかをデッキから削除することができる。 削除した場合、カード右上に記載のあるリソースを獲得することができる*4。
1ターンの間に何枚も削除することができるが、激怒のリソース上限が12個であるため、1ターンに削除できるのは3枚までが限界である。基本的に初期山札のカードはゲーム中に獲得できるカードよりも弱いため、デッキ圧縮の意味でも積極的に削除していけると良さそうである。
ゲームの終了
いずれかのプレイヤーが80点を獲得した場合、そのフェーズの処理を完了した時点でゲームが終了する。
例えば、フェーズ1. カードの並び替えの段階で点数が80点に到達した場合、フェーズ2. カードの獲得には進まず、全プレイヤーのフェーズ1. での処理が完了した時点でゲームが終了する。
最終的に点数が最も高いプレイヤーが勝利となるため、処理内容によっては最初に80点に到達したプレイヤー以外が逆転勝利する場合もある。
プレイしてみての考察
プレイ中に感じたことや、プレイ後の感想戦で話した内容を書いておく。
最初の2ターンの重要性
獲得したカードは次のターンに使用可能なため、1ターン目にゴリラのカードが獲得できた場合とそうでない場合で、デッキの圧縮スピードにそれなりに差が出るように感じた*5。
ゴリラのカード獲得に限らず、最初の2ターンの引きが悪いと資源の獲得がままならず、圧倒的に不利な展開になってしまう場合があるが、こればかりはゲームの性質上仕方ないように思える*6。
オランウータンとバッテリーの使いどころ
序盤はゴリラで激怒を獲得してデッキを圧縮しつつ、チンパンジーで必要な効果を再利用、中盤以降はマンドリルで勝利点稼ぎ、と言うのが基本的な動き方になってくるように思う。 そうなると、オランウータンのカードを獲得するタイミングがあまりなく、必要があまりないように感じてしまった。
また、オランウータンのカードで獲得できるバッテリーも、カードの獲得には使えないこと、道具の効果もそこまで強力なものと思えなかったこと、さらにはオランウータン以外のカードでもバッテリーが獲得できてしまうことから、ますます有用性が感じにくくなってしまっていた。 道具にはいろいろな種類があるため、場によっては有効活用できるのかもしれないが、そのためにあえてオランウータンのカードを取るか、と言われると微妙なように感じる。
レベル1のカードを獲得するタイミング
カードにはレベル1とレベル2があるのは前述した通りであるが、レベル2のカード獲得に必要な資源6つが比較的早い段階で揃うことから、レベル1のカードを買うタイミングが早々になくなってしまう。
あえてレベル1のカードを買うメリットは「資源を3つ節約できる」ことになると思うが、資源を多く残すことが有効なタイミングがあまりなく、多くの資源を消費したとしても次のターンにレベル2のカードを使えるので比較的すぐに回収することもできる。レベル1のカードは枚数が多い*7にも関わらず、最初の2ターン程度で誰にも買われなくなってしまっていたのは少々残念に感じた。
行動をキャンセルした場合の挙動
BGAでプレイする場合、「直前の行動をキャンセル」と「N回前までの行動をキャンセル」を選べるのだが、「N回前までの行動をキャンセル」を選んだ場合、カードの並びが最初の状態に戻されてしまう。時間をかけて最大効率で並べ替えたものがリセットされてしまうだけでなく、自分だけ時間消費が大きくなってしまうことにもつながるため少し注意が必要。
感想とまとめ
プレイ時間は5人で1ゲーム50分程度。全員で一斉に行動を処理していくタイプのゲームであるため、他のプレイヤーのターンが終わるのを長時間待つようなことはあまりなく、比較的サクサクプレイすることができた。
デッキビルド系のゲームとしては「ドミニオン」や最近は「チャレンジャーズ!」などが有名なものとしてあるが、デッキを組んだ上でターン毎に引いたカードを並べ替えて行動を変えると言う部分が中々頭を使って面白くプレイできたように思う。
ただ、1戦目は色々なカードを獲得して遊んでいたが、それ以降は前述のように「レベル1のカードとオランウータンのカードは取らない」で戦略がほぼ固まってしまったのは少し残念に感じた。もう少しデッキビルドの戦略性が広がるかどうかは、今後プレイしつつ確かめていきたいと思う。
また、このゲームはまだ日本語版が出ておらず、実物を購入したい場合は外国語版を海外のサイト等で入手する必要がある。道具のカードの内容やレベル1/2のカードの違いなどを確認してみたかったが、現時点ではBGAで何度もプレイして確認してみる必要がありそう。
*1:ドミニオンで言うところの「アクション」「購入」「クリーンアップ」の順を、各プレイヤー一斉に行っていくイメージ
*2:勝利点を消費して何かを獲得するような行動はなかったため、リソースとは別枠として記載している
*3:これらはBGAでは「初心者向けのセット」として登録されており、この設定を使えば毎回これらの道具が使用される
*4:初期山札のカードは花、果実、穀物、バッテリーのいずれか1個、ゲーム中に獲得したカードの場合は3勝利点が獲得できるようである
*5:初期の山札が8枚、毎ターン4枚のカードを引いていくため、1ターン目に獲得したゴリラのカードは運が良ければ最短で3ターン目には再び使える
*6:例えば、ドミニオンにおいて2コインで獲得できるカードがないような場での初手2コインなど、探せば同じようなパターンは色々ありそうである
*7:レベル1のカードは18枚、レベル2のカードは12枚。ただ、10ターン程度でゲームとしては決着がつくので、レベル2のカードも売り切れることはほとんどなさそうではある