BGAで1位になったのでプラネットアンノウンの戦略についてまとめてみる

ボードゲームアリーナ(BGA)のアリーナモード シーズン17にて、プラネットアンノウンというゲームで1位を獲得し「アリーナチャンピオン」の称号を得ることができました。

本記事では、プラネットアンノウンのプレイ経験のある方~興味のある方を対象として、シーズン期間中に考えていた戦略やシーズン終了後に調べてみた事柄などをまとめて説明します。

ゲームの大まかなルール

本記事では戦略を主に記述するため、詳細なルールについては外部ページをご参照いただけますと幸いです。

note.com

lecu1012.com

タイルを配置して資源を獲得しながら、点数を競い合うゲームです。 大きな特徴として、タイルが円形の「宇宙ステーション」に格納されており、プレイヤーの1人が司令官となって回転させることで、各プレイヤーが選択できるタイルが決まります。

大まかには以下の流れでターンが進んでいきます。

  1. 司令官が宇宙ステーションを回転する
  2. 各プレイヤーはタイルを選択し、惑星ボードに配置する
  3. 隕石の表示がある場合は、隕石トークンを配置する
  4. 資源トラッカーを進める
  5. 司令官が次のプレイヤーに移る

これを誰かがタイルを配置できなくなるまで繰り返し、点数計算をして勝敗を決めます。大雑把に言うと、惑星ボードがより埋まっているほど、資源トラッカーがより進んでいるほど高得点になります。

アリーナモードでのルール

アリーナモードでは、シーズンごとに各テーブルの参加人数や細かなルールが改定されることがあります。このシーズンのアリーナのルールは以下のようになっていました。

  • プレイヤー人数 : 3人
  • 個人目標 : あり
  • 惑星の選択 : なし
  • 企業の選択 : なし

ランダムに割り振られる個人目標以外には、勝敗への影響が大きい運要素がほとんど無い環境であったと思います。 個人目標以外の情報は全て公開となっていることもゲームとして大きな特徴と言えると思います。

また、私はターンベースでのプレイがメインでした。BGAでのプレイヤー人口がそれほど多くないことに加え、欧米のプレイヤーが多いため日本時間の夜の時間帯ではリアルタイムのテーブルに人がなかなか集まらなかったことが大きな理由です。 ただ、ターンベースの方が持ち時間が長いため、他プレイヤーの盤面をよく見て考えることができる環境ではあったと思います。合わせて、複数のテーブルに並行して参加できるため*1、期間中の密度はむしろ高くなったように感じます。

基本的な戦略

ここからはルールに合わせた戦略と、プレイ中に心がけていたことを書いていきます。

最終的に目指す点数のラインと内訳

体感として60点後半~70点台を獲得できていればほぼ勝利できるように思います。 今までにプレイした100ゲーム程度の統計*2を確認すると、内訳は以下のようになっていました。

内訳 点数
惑星からのメダル 30.67
トラックからのメダル 16.05
ライフポッドからのメダル 3.80
隕石により得たメダル 4.07
発展カードからのメダル 1.60
目標からのメダル*3 7.25
合計 63.44

この中で注力するべきは「惑星からのメダル」と「目標からのメダル」と考えてプレイしました。

「惑星からのメダル」に関しては最も多くの点数を占めているのはもちろんですが、このゲームではタイル配置時および配置後に相手からの妨害を受けることがないので、プレイング次第で点数を伸ばすことができることが大きいです。最終的な目標スコアを考慮すると、30点は確保しておきたいところです。

具体的には、相手よりもより多くのマス目を、なるべく空きマスを作らないように埋めていくような手を選択していくことが重要になります。このあたりの考え方は後述の「具体的な戦術」の項目で検討していきます。

「目標からのメダル」に関しては、隣接目標が獲得できた場合とできなかった場合とで、相手との得点差が5点分そのまま入れ替わってしまうため優先度が高いと考えます。

ただし、隣接目標の組み合わせによってはどちらかを諦める必要がある場面もあります。例えば、「回収した隕石がより多い」+「回収した隕石がより少ない」のような正反対の組み合わせや、「外周上にある○○資源の数がより多い」2つの組み合わせになってしまった場合はかなり厳しくなります。個人的には「惑星上にある○○資源の数が少ない」が出てしまった場合も、目標達成しようとするとプレイングに制限がかかるパターンが出てくるため厳しいように感じます。このような場合には、中盤までにはどちらかの目標を諦めた上で、その分を他の要素からより多くのメダルを獲得できるように切り替えることが必要となります。

資源トラックの進め方の優先度

序盤から中盤にかけては、以下の優先度で資源トラックを進めていきます。以下、簡略と分かりやすさのためそれぞれの資源を名称ではなく色で呼んでいきます。

  1. 文明 (黒) : ランク3の文明マイルストーン (10マス目) まで
  2. 技術 (灰) : レベル2 (5マス目) まで、可能ならレベル3 (7マス目) まで
  3. ローバー (赤) : ローバーマイルストーン (6マス目、ローバーが2台になる) まで
  4. バイオマス (緑) : 灰レベル2 (バイオマス区画をゲーム終了時まで保持できるようになる) を獲得してから進めるのが望ましい
  5. 水 (青) : 終盤までほぼ進めなくても良い

文明 (黒)

黒をランク3までとしているのは、資源トラックを相手より多く進めることに主眼を置いているためです。 資源トラックは上であればあるほど効果および獲得できるメダルが大きくなるため、優位にゲームを進めることに直結してきます。

黒のランク1およびランク2には、任意のトラックを進められるカードが存在します。 トラックを1つ進めることはタイルから資源1つを獲得することに対応しているため、純粋に手番を節約してトラックを進めることができます。

また、ランク3には非常に強力なカード「労働組合結成」が存在しており、これを他のプレイヤーより早く、かつ有効活用できるうちに獲得できるとゲームを大幅に優位に進めることができます*4

以下は理想的な状況で「労働組合結成」が獲得できた盤面で、資源トラックを合計18マス分進めることができます。これは単純計算で9ターン分に相当するため、どれだけ効果が大きいかがわかるかと思います。 また、上述した優先度における、緑の前提となる灰レベル2も同時に満たされるオマケまでついてきます。

反対にレベル4のカードは、ゲーム終了時にメダルを増やすことができるなどのため、そこまで急ぎで獲得する必要はないと考えます。レベル4の中では、バイオマスパッチ3枚を獲得できる「広域公園制度」がかなり強力ですが、こちらも有効活用するためには灰レベル2がほぼ前提になります。

獲得できるカードの選択肢はゲームごとに異なり*5、上述したカードが選べない場合もありますが、他プレイヤーより早くトラックを進める可能性が高まることから、序盤は積極的に進めるのが望ましいと考えます。

技術 (灰)

ここまで何度も登場している灰のレベル2は、バイオマスパッチの配置判断を遅延させるために必要になります。残したバイオマスパッチをゲームの終了直前に配置することは、最も点が高くなるような配置が選べることと、1マスの空きを許容できることによりゲーム中のタイル選択の自由度が上げられる点から非常に有利と言えます。

また、「惑星からのメダル」確保のために隕石除去は必要不可欠であり、可能な限り灰レベル3まで上げてからローバーを移動させられると中盤~終盤にかけての隕石回収を楽に進めることができます。

ローバー (赤)

ローバーについては前述の通り、隕石除去のために適宜上げていく必要があります。6マス目まで上げれば盤面に2台のローバーがあることで、配置した隕石に対して近いほうのローバーを移動させるなど選択肢が広がります。

隕石自体は点数を伸ばすために回収するというよりも、盤面に1つ存在することで縦のラインと横のラインが揃わなくなり、最低でも4点の損失となってしまうのを避けるために必須となります。そのためラインが揃ってくる中盤~終盤にかけて重要度が上がってくると言えます。

バイオマス (緑)

バイオマスパッチはあると便利なことは確かなのですが、各ターンで獲得するタイルで盤面を隙間なく埋めていくほうが効率が良いため優先度はそこまで高くないと考えます。

また、序盤の灰レベル2獲得前だと最善とは言えない配置に使わざるを得ないため、中盤~終盤にかけて獲得して行った方が最終的なスコアへの影響が大きいと言えます。

水 (青)

完全にボーナス点としての位置づけのため、優先度は最も低いです。 ただ、終盤にトラックを進めようとする場合には灰レベル4まで獲得できていることが期待でき、結果的に終盤の方が効率良く進めることができます。

具体的な戦術

上記の戦略を踏まえて、プレイ中の具体的な行動について検討していきます。

大きなタイルから取る

先述の通り、惑星から得られるメダルの配分が大きいため、できるだけ盤面を埋めていく必要があります。そのためには、各ターンで1マスも多く埋められるような大きいタイルを取っていくことが望ましいです。

タイルは2マス〜5マスの全12種類あり、仮にランダムにタイルを取っていった場合は1ターンに平均4マスずつ埋まっていくことになります。 最もベーシックな惑星は全96マスのため、平均のペースでは24ターンで全てのマスが埋まることになりますが、実際には綺麗に埋められないケースが発生するため、これより短い21〜22ターンで決着することがほとんどです。このターン数で惑星を埋め切れるよう、積極的に5マスのタイルを取っていくことがスコアを伸ばすカギとなります。

マス数 種類数
2 I 1種類
3 I, L 2種類
4 I, O, L, S, T 5種類
5 F, N, Z, U*6 4種類

5マスのタイルで埋まらない空きパターンを避ける

5マスのタイルの形は4つしかなく、それぞれ微妙に使いづらい形となっています。惑星の外周に沿いやすいW型や、2x2マスの塊を埋めやすいP型といったタイルは存在しません。

このような形を空きスペースとして残してしまうと、埋めるためにはバイオマスチップが不可欠になってしまうため極力避けるようにします。私の場合は外周はF型やN型、2x2マスの塊ができそうな場合にはZ型を配置して回避、もしくは素直に4マスのタイルを取って埋めることが多かったです。序盤〜中盤までの間は、どうしても獲得したい資源がある場合を除いて2マスと3マスのタイルにはなるべく手を出さないようにします。

ライフポッド回収のために無理をしない

ライフポッドの1点は魅力的に映りますが、最終的な惑星からの点数と比べると小さいものであり、全て回収したとしても隣接目標が1つ獲得できた場合とほぼ変わらない点数であるため、余裕があれば拾う程度の優先度で問題ないと考えます。

また、ライフポッドを回収する際には必然的にタイルが配置されていないマスにローバーを進める必要があり、タイル配置によるローバー破壊を避けることを考える必要が出てくることも少々厄介です。特に移動力が少ない序盤〜中盤の間は、ライフポッドを覆う形になってもなるべく大きなタイルを配置して資源獲得を進めることが重要と考えます。体感としては、移動力が伸びてきた中盤以降でも残っているものを隕石回収のついでに拾うことで、3つ程度は拾えていたと思います。

中盤~終盤 : 回収できない隕石による影響を避ける

ローバーの項目でも述べましたが、盤面に1つ隕石が存在すると縦横の両方のラインに影響が出ることから、ゲーム終了時には隕石がボード上にないことが望ましいです。どうしても隕石が残ってしまう場合には、なるべく点数の低いライン上や、空きマスがあって点数にならないライン上に固めることで失点を防ぐ工夫が必要になります。

灰レベル5を獲得してそもそも隕石が出ないようにする戦略もありますが、レベル3からさらにトラックを7つ進める必要があることと、終盤にかけてローバーの移動力が増えていることから、極力回収で対応した方が効率は良いように思います。

終盤 : 早期終了を検討する

他のプレイヤーよりもある程度大きくリードできている場合には、相手の点数が伸びてくる前に早々にゲームを終了してしまったほうが良い場合があります。具体的には、「誰かがタイルを配置できない状態となるように宇宙ステーションを回転させる」ことでゲームを終了させます。戦略の中で「タイル配置時および配置後に相手からの妨害を受けることがない」と書きましたが、この方法であれば唯一妨害が可能になります。

自分の盤面だけでなく相手の盤面もよく見る必要があるため、ターンベースでのプレイなど時間に余裕がある場合に限られてくるかと思いますが、可能であれば検討する余地はあるかと思います。

タイルの内訳について

以上がシーズン中に考えて実践していた戦略および戦術になります。ここから先は、シーズン中は何となく意識はしていたものの、シーズンが終了してから実物を見ながら調べてみた内容を記載します*7

タイル中の資源の組み合わせ

いずれのタイルにも2種類の資源が配置されていますが、何度かプレイしているといくつかの組合せは存在しないことに気がつきます。 例えば、赤と緑のような組み合わせはありません。このようなタイルを取ることを前提とした行動はできないことになります。

実際に調べてみると、どの形のタイルでも以下の組み合わせのみが存在しており、それぞれ2枚の計12枚から構成されていることが分かりました。

  1. 黒 + 緑
  2. 緑 + 灰
  3. 灰 + 赤
  4. 赤 + 青
  5. 青 + 黄*8
  6. 黄 + 黒

この中で特に意識すべきは 6.かと思います。序盤において黒のトラックを進めることは非常に重要で、1枚のタイルで確実に2つ進めることができるため、可能であれば積極的に取っていくのが良いかと思います。

内訳が分かればカウンティングすることも可能になりますが、12種類のタイルについて出現済みか否かを覚えておくのは大変であり、目的のタイルが出てきても相手次第で取れない可能性も十分に考えられるので、あくまでも「ない資源の組み合わせがある」程度を認識しておけば良いように思います。

隕石の出現頻度

体感としては1ゲーム中に9〜10個程度の隕石を回収して終了することが多かったように思います。1ゲーム中に配置するタイルが21〜22枚程度であることを考えると、割合としては2枚に1枚程度の割合で隕石が含まれることになりますが、こちらも実際のタイルを見て調べてみました。

結果としては、先に記載した資源の組み合わせごとに、1枚が隕石あり、もう1枚は隕石なし、となっていました。 ほぼ体感通りの結果となりましたが、こちらもゲーム中に出現したか否かまでは覚えておく必要はなく、ゲーム終了時までの見積りや、目標が隕石に関連する場合などに意識する程度で十分ではないかと思います。

まとめ

本記事ではプラネットアンノウンの戦略について、自分なりに考察したものをまとめてご紹介しました。 ゲームの攻略方法としては少々物足りない部分もあるかと思いますが、プレイする際の参考にしていただけると幸いです。

*1:私は常に5~7テーブルを並行して回すようにしていました。

*2:シーズンに入る前にプレイしたものも含まれています。

*3:隣接目標と個人目標のメダルを合わせたもの。個人目標なしの場合も合算されています。

*4:あまりに強力なカードであるため、BGAのコミュニティでも何度か議論の対象として挙がっています。

*5:レベル毎に全7枚のカードから、人数+1枚のカードをランダムに選んでゲームで使用します。3人プレイの場合は4枚のカードが選ばれるため、特定のカードが存在するのは約57.1%ということになります。

*6:形の対応はWikipediaペントミノ」: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%8E を参照ください。

*7:先にゲームマーケット2023秋にて実物を購入しており、その後でBGAでプレイできることを知りハマっていったという経緯があります。

*8:エネルギー : 隣接している領域の資源を獲得することができる。黄の資源トラックは存在しないためこの位置での紹介となってしまいました。